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令和4年4月15日
日本経済新聞 - 引用
民法改正で新たに18~19歳が成人となる中、若者を狙ったとみられる悪質商法被害が相次いでいる。成人が結んだ契約は取り消しが難しく、消費トラブルへの警戒心が薄い若者の被害増加が懸念される。目立つのはSNS(交流サイト)への親和性や美容に関する「憧れ」を逆手に取った手法。若者心理に沿った注意喚起が急務だ。
「『誰でももうかる』というその話、マルチ商法かもしれません」。4月上旬、文化学園大学杉並高校(東京・杉並)で東京都消費生活総合センターの講師による講義が開かれた。
今年度18歳を迎え新成人となる3年生約250人が体育館に集まり、ドラマ仕立ての動画で、若者に起こりがちな消費トラブルの実例を学んだ。学年主任の萩原雅人教諭は「被害に遭ってからでは遅い。生徒たちには成人になる自覚を持ってほしい」と話した。
成人になれば親の同意なくカードローンといった借金の契約ができる。未成年が親の同意なく結んだ契約は民法の規定で取り消せるが、成人は対象外。国民生活センターの担当者は「成人に達するのを待って言葉巧みに借金を申し込ませる被害が複数ある」と話す。
若者の消費者被害のきっかけの特徴がSNSを通じた接触だ。10、20代のSNSに関連する消費生活相談件数は2020年度は1万3935件に上り、16年度(5165件)と比べ2.7倍に増えた。
消費生活センターに寄せられた東北地方の20代女性の相談によると、女性はSNSに届いた「1カ月で100万円もうかる。元が取れなかったら返金する」という投資の誘いに応じて契約を結んだ。初期費用として請求された50万円をクレジットカードで支払ったが利益は得られず、返金も断られたという。
ツイッター上では、キーワードで検索しやすくする「#(ハッシュタグ)」を使った「#成人」などの文句とともに、契約の主体になれる大人になったことを機に投資や副業を誘う投稿が目立つ。
日本財団が18年に当時17~19歳へ1人で契約を結ぶ印象を尋ねたところ、「やりたいことが自由にできる」が36%で最も多い。国民生活センターの担当者は「SNSの投稿内容から利用者の年齢を推測し、知識に乏しい新成人の18歳、19歳を狙う可能性もある」と警戒を呼びかける。
若者の関心を引くインターネット上の情報には特に注意が必要だ。
20年度の20~24歳の消費者被害の内容別では、副業や投資用の情報をやりとりする「デジタルコンテンツ」が827件で最多。ダイエットサプリメントなどの「健康食品」(555件)やエステティックサービス(370件)、脱毛などの医療サービス(98件)など、美容に関連する商品やサービスを巡るトラブルの多さが若者の特徴だ。
全国消費生活相談員協会の沢村美賀理事は「若い世代はSNSの利用を通じ、ファッションモデルや芸能人など容姿が輝かしく見える投稿に触れやすい。被害が多い背景には、容姿への憧れや自己肯定感の低さがあるのではないか」とみる。
学校現場での消費者教育は、1989年改訂の学習指導要領から本格的に導入された。12年には消費者教育推進法が施行され、消費者教育の推進が国や自治体の義務となった。
契約時の注意点をまとめた消費者庁の冊子を活用した授業を実施した高校は8割を超えるが、不安を抱える若者はなお多い。
沢村理事は「行政機関は消費生活センターなどとの情報共有を徹底し、最新の詐欺商法の手口に加え、若者が不利な契約を結んでしまう心理的な状況を理解する必要がある」と指摘。その上で「SNSの活用など、若者に届くよう工夫しながら注意喚起を繰り返す姿勢が欠かせない」と話す。
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